- 10月
- 2024年11月
前回の「こんなFMトランスミッター待っていた(前編)」からの続き。
DiasonicからこのCup Holder FM Transmitterを初めて見せてもらったのは2006年のInternational CESの展示会場でした。まだプロトタイプということでの話でしたが、これまでにないユニークなアイディアにワクワクした覚えがあります。最終的に、発売に至ったのが2006年12月ですから、約1年経過してからの発売となりました。これは予想よりもかなり長かったのですが、いくつかの改良を経て最終形になったため、仕様変更などに時間がかかったのです。
・コロンブスの卵ともいえるカップホルダー型
前回のエントリーで、ケーブル型とコンパクト型のFMトランスミッターには設置場所の問題が発生してしまうということを書き、さらにグースネック型は車種を選ぶのが欠点であると勝手に決めつけました。これはここからカップホルダー型へ我田引水するための布石というわけです。
車の中でFMトランスミッターを使用してiPodを楽しむためには、どんな設置場所を用意したら良いのか、と突き詰めて考えていった場合、カップホルダー型というのはまさにコロンブスの卵的発想で、簡単に、なおかつ必ず利用できる設置場所といえます。
車に飲み物を置くためのドリンクホルダーは基本的に必須で、これが標準装備していない車は非常に希だといえます。ということは、すでに車に設置場所が用意されているということと同義といえます。そこに置くだけでしっかりと設置でき、さらにドリンクホルダーは基本的に運転中にも飲み物を取れるようにすぐに手が届く場所に装備するように設計されています。つまり、iPodの操作をするためにも良い場所であるといえます。
FMトランスミッターを置いたら飲み物が置けなくなるじゃないか、という疑問はごもっともです。しかし、カー用品店に足を運んでみてください。エアコンの通風口、ドアの隙間、ダッシュボード、その他さまざまなドリンクホルダーを増設するためのアイテムが並んでいます。その中からたったひとつ、良いものを選ぶだけで済むのです。ドリンクホルダーというのは灰皿と並んでもっとも多く種類が用意されているアクセサリーのひとつです。
というわけで、カップホルダー型は基本的にどんな車でも操作が簡単にできる範囲に設置できるという意味において、最高のソリューションであるといえるのです。
・気になる音質
前回も書いたとおり、このCup Holder FM Transmitterを試すまではFMトランスミッターの音質には満足していませんでした。しかし、これは本当に「売っているから」ということではなく、音質についてはFMラジオの帯域を使っているとは思えないほどの高音質を実現しています。カップホルダー型の利点として、場所としてはドリンクホルダーをまるまる占有してしまうのですがその代わりに製品を大きく作れるのです。これの意味するところは、ムリヤリ小さいところに収める必要がなく、回路を余裕を持って設計できるということです。これ以外のFMトランスミッターは小さくしなければいけないため、回路設計にある程度制限を加えなければなりませんでした。そこにも高音質回路を設計できるアドバンテージが潜んでいるのです。
音質に関しては、私としてはかなりの自信を持っていますので、AUGMなどのイベントで話をする際には、「購入してもしも他の製品の方が音が良いと感じられたら、返品はもちろん、購入金額の倍額を返金しても良いです」と大きな口を叩いています(笑)。それでも、購入された方からただの一度も「音質に不満がある」とご連絡をいただいたことはありません。
店舗で購入した分は、いろいろな手続きも含めて複雑なので実現は不可能ですが、当社オンラインストアでご購入いただいたCup Holder FM Transmitterで音質に納得がいかないという方には返金保証を付けます。条件はより良い音を出すFMトランスミッターを教えていただくことです。もちろん、CDなどの音と比べればFMラジオという媒体の制限がありますので比較は難しいのですが、FMトランスミッターとして、という枠内での判断をしていただきたいと思います。それくらい、自信を持ってお薦めできるということです。
・高いコストパフォーマンス
Diasonicの製品はiPod用ダイナミックスピーカーでも実績がありますが、価格がそれほど高くないのにもかかわらず、価格が高い製品と肩を並べることができるくらいのパフォーマンスを提供してくれます。このCup Holder FM Transmitterも例外ではありません。当社オンラインストアでの販売価格が7,980円(税込)ですが、現行iPodでDockコネクターを装備しているすべての機種に対応していて、ステレオミニプラグによるラインオーディオ入力を備えているFMトランスミッターとしてはかなり安い部類に入ると思います。
特定のiPod用の製品と違い、友達や恋人など自分以外の人が自分とは違うiPodを持っていても、アタッチメントを付け替えるだけで簡単に専用FMトランスミッターに早変わりさせることができます。また、自分自身も買い換えをしたとしてもFMトランスミッターを買い換える必要がありません。末永く使えるという意味でも、コストパフォーマンスは高いといえます。
・ビデオ出力を備えた数少ないFMトランスミッター
最近はiPodにテレビ録画したり、ダウンロードした映像を転送しておいたり、iTunes Storeで購入したプロモーションビデオなどを詰め込んで、外出先でも使用するということが増えてきています。私自身は試したことはありませんが、ビデオポッドキャストも少しずつ市民権を得てきているように思います。このCup Holder FM Transmitterは、それらの映像をカーナビなどのディスプレイに出力できる機能を装備しています。
ビデオ出力は3.5mmの端子でiPod用のAVケーブルに対応しています。オーディオはFMトランスミッターから出力させてカーステレオから音を出します(ビデオアウトからはオーディオ信号は出力しません)。最近このビデオアウトの問い合わせをいただくことが増えてきていますが、ケーブルは「iPod用AVケーブル」もしくは「iPod用ビデオ出力ケーブル」として発売されているApple純正品を含むすべてのケーブルに対応しています。ビデオだけのケーブルはあまり見かけないので、オーディオとワンセットになっているタイプになります(赤と白と黄色の端子になっているものが多いです)。お店の店員の方に訊く場合には、「iPodとテレビを繋いで映像を映せるケーブル」と訊くと探してきてくれるはずです。
・Apple Remoteが使える唯一のFMトランスミッター
それほど調査力があるわけでもないので、「当社調べ」です(笑)。
他のFMトランスミッターと差を付けるユニークな機能がこのApple Remote対応です。現在、Mac Proを除くすべてのMacにはこのApple Remoteが付属しています。しかし、実際にはビジネス用途でプレゼンテーションの操作に使うか、もしくは「希に」(笑)Front Rowを使うくらいでしょうか。
そんなしまい込まれたApple Remoteを大活躍させてくれるのがCup Holder FM Transmitterです。特に難しい設定はいりません。iPodを差して、Apple Remoteを操作するだけで、再生・一時停止・スキップ・頭出しの操作が可能になります。後部座席から好きな曲を選ぶというのもファミリーユースには良いと思います。
なお、Apple Remoteに付いている「Menu」ボタンは機能しません。実際には押すと、プレイリストやアーティストを選ぶためのメニュー画面に移動するのですが、いかんせん選択する方法がありません。プラスマイナスボタンは音量に割り当てられており、これはこのCup Holder FM TransmitterがDockを使用しているために意味をなしません(ボリュームコントロールはラジオチューナー側で行ないます)。プラスマイナスボタンで選択もできたら良いのでしょうが、現在のiPodとApple Remoteの仕様には含まれていません。
・細かな配慮がたくさん
ここまで書いてきたほどのインパクトはありませんが、このCup Holder FM Transmitterにはいくつかの細かな配慮がなされています。
[オートスタート・ストップ機能]
最近はかなり増えてきましたが、車のエンジンを始動(実際にはシガーライターに通電)した際に自動的にiPodが再生し、エンジンを切ったとき(シガーライターの通電が途切れた場合)にはiPodが数秒後自動的に電源が切れるような機能を搭載しています。これにより、目的に着いてクルマから降りる際にも、iPodをわざわざ止めなくても良いのです。そして、車に戻ってきたらまた「同じ場所から」再生を再開してくれます。iPodを止めるのを忘れてバッテリー切れになったり、聴いていないのに再生だけしていて、止めた場所から再度聴き始めるということができないというのを防ぐことができます。
[iPodコントロールボタン]
Cup Holder FM Transmitterのフロントにある3つのボタンでiPodの再生・一時停止・スキップ・頭出し(早送り)の操作が可能です。これまでのFMトランスミッターは軒並み操作はiPod自体を使用するようになっていましたが、実際にやってみるとわかりますが、特に運転中は操作しにくいのです。ケーブル型やコンパクト型はそもそも置き場所に困るため、すぐに手に取れる場所になかったりしますし、グースネック型でもiPodを操作する際には片手ではうまくできないのです。iPodをもう一方の手で押さえないと動いてしまうからです。
Cup Holder FM Transmitterの3つのボタンのうち再生・一時停止に割り当てられている真ん中のボタンは見なくても指先だけで識別できるように小さな突起が付いています(キーボードのホームポジションを見ないでもわかるようにするアレです)。したがって、運転中に手を伸ばすだけで、片手で操作することができるのです。実はこれ、ものすごく便利です。もちろん、iPod自体を操作することも可能ですが、目をそちらに移動しなくても操作できるというのは安全上も非常に大きな利点といえます。
[5つのプリセット設定]
だんだん小さな話になってきますが(笑)、プリセットを5つ設定できますので、長距離トラックなど周波数を途中で変えなければFMラジオ局と被ってしまうという方でもワンタッチで周波数を切り替えることができます。多少、便利です。
[12V/24V対応]
日本で売られているFMトランスミッターでシガーライターから電源を取るタイプでも12Vのみの対応が多いのですが、Cup Holder FM Transmitterは24Vも対応しています。これは日本車の普通車のほとんどが12V車なので、それに合わせているのですが、トラックなどの大型車や外国車などは24Vタイプも多いので、どちらでも使える仕様はささやかではありますが重要な要素といえます。
・Diasonicとしてのブランドイメージを作るパッケージ
最後に、パッケージです。この前に発売したiPod用ダイナミックスピーカーのパッケージを考えた際に作ったベースラインを踏襲しつつ、パッケージデザインをしました。一応、オリジナルのデザインも掲載しておきますが、日本向けデザインの方が格好良いと信じています。店頭ではこのオレンジのパッケージを探していただければと思います。ちなみに、セールス的にはパッケージが大きいのでお店にはイヤがられました(汗)。もしもお店で見つからなくても、諦めずに製品ページにあるJANコード(13桁の数字)を伝えてください。
書き始めたらまたしても長くなってしまいました…。もうかれこれ1時間以上は書いています。ただ、書き始めたら止まらないくらいたくさんの紹介したいポイントがあり、そしてなによりもこれまでのFMトランスミッターに満足していない方、まだ使ったことはないがFMトランスミッターに不安を抱いている方など、是非使っていただきたい逸品なので、いろいろと書いてしまいました。
それでは、iPodと楽しいカーライフをお楽しみください。
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このブログを書いたスタッフ
プレジデント
ほっしぃ
音楽からMacの道に入り、そのままApple周辺機器を販売する会社を起業。その後、オリジナルブランド「Simplism」や「NuAns」ブランドを立ち上げ、デザインプロダクトやデジタルガジェットなど「自分が欲しい格好良いもの」を求め続ける。最近は「24時間365日のウェアラブルデバイス|weara(ウェアラ)」に力を注いでいる。
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